■[ブラック企業]ブラック企業で学んだこと ― 新卒でドロップアウトした僕から、ドロップアウトしそうなあなたへ(1)
こちらのエントリーを拝読しました。ブログというメディアならではの記事で、大変素晴らしいと思いました。どう素晴らしいかというと、非常に具体的に、体験に基づいて、人生の指針を書いていらっしゃるからです。
本屋さんに行くと、「どうやって就職活動をしたらいいか」という本はたくさんあると思うけど、「就職活動がうまくいかなかったらどうしたらいいか」という本は、それほど多くないような気がします。
また、例えば僕は、以前、22歳のときに、旦那からのDVに悩む、4歳年上の人妻に恋をしたことがあるけれど、「旦那からDVを受けたらどうしたらいいか」ということに対する具体的なマニュアル本というのもあんまり無いような気がします。
だけど、就職活動の進め方とか、あるいは趣味なんかのマニュアルよりも、どちらかというと、そうして人生の危機的な状況に陥ったときこそマニュアルが必要なんじゃないかと思うのは僕だけでしょうか?
じゃあ、と私の経験を書いてみて、それが誰かの役に立てばいいなと書いてみる。
というこの一文がとても素晴らしいと思いました。僕も、自分の経験を書いてみて、それが誰かの役に立てばいいなと思いました。
このあたりも読んで、たまたま僕のブログを読んだ人が、何かの参考にでもしてくれればいいなあと思ったのです。
◆
平成12年の3月に大学を卒業しましたが、僕の頃も、「就職氷河期」とか言われていたような記憶があります。
就職活動は一応しましたが、途中でやめてしまいました。バカバカしく思えたからです。今思うととても傲慢で恥ずかしいのだけれど、面接をして下さった人が、全然輝いて見えなくて、「俺もこうなるのかな。」って思ったら、イヤになってしまって、途中で活動をやめてしまったのでした。
僕は外国語学部というところを卒業したのですが、英語は全然話せませんでした。道を聞かれたら、カタコトで伝える程度、というと伝わりますでしょうか。
大学に入る前は、「通訳とか翻訳とかやりたい」って思ってたのですが、多くの大学生のように、特にちゃんと勉強をするわけでもなく、バイトばっかりやった結果、専門的な知識を身につけることもないまま、卒業を迎えてしまいました。
いつ、どのように学生が占めるようになるクイズやテスト逃した
でも、就職活動をやめて、自分の人生を振り返った結果、「そういえば、英語をやるために大学に入ったんだっけな。」ってことを思い出して、「人生をもう一度やり直そう」と思って、卒業後、英語の勉強を始めました。
お金が無くて、フリーターをしながら勉強をしていたので、独学でTOEICの勉強をしていました。とにかく英語に触れようと思って、深夜のCBSとかBBCとかのニュースをビデオ(笑)で録画して、それを繰り返して、ノートに書き写したりして、ひたすら勉強していたら、3か月ぐらいで、TOEIC700ちょっとと、英検準一級が取れました。
今は知らないけど、当時は、TOEIC700以上というのが、通訳の養成学校の最低限の基準で、まずはそれを取らないとって思っていたのです。
それで、「通訳の養成学校に入る」という選択肢が、自分の持ち駒に加わったのだけれど、通訳業界というのは、「実務経験がゼロ」だと新規参入できない業界でした。つまり、そういう会社に入る前に、自分で何らかのかたちで、実務経験を積んでおかないと、養成学校を出ても、仕事が無いわけです。
そのとき僕は、「日本で、英語圏の外国人がたくさんいるところはどこか?」と考えました。「英語圏の外国人と友達になって、通訳とか翻訳の仕事のお手伝いをさせてもらおう。」って考えたからです。その結論が、
「六本木か、英会話スクールである。」
という結論になりました。バイトで、魚をさばいたり、料理を2年ちょっとやってたので、六本木で料理をやるという選択肢も考えられたのです。
当時の僕は、「英会話スクール」という選択肢を選びました。だけど、いかにもな感じの英会話スクールだとアレだなあって思って、「アメリカの語学学校の日本校の広報部」という職業を選択しました。このとき、「インターネットでその企業を検索する」というスキルが僕にあれば、おそらくその企業を選ばなかったと思います。
何故なら、その企業は、いわゆるブラック企業だったからです。
ブラック企業の定義が分かりませんが、どういう企業だったか書いてみると、
SATSを必要としない大学
- 土曜は出勤、休みは日曜だけ
- その日曜も出勤したりする
- 勤務時間は11時〜23時
- 給料は手取り10万8千円、あとは歩合
- 毎日、全員で社訓を絶叫
- 定時で帰ろうとすると、罵倒される
- 課長以上の役職者、経営陣に大卒がゼロ
- 直属の上司は元ヤンキー、元ヤクザの下でダフ屋
- 1日300件ぐらい電話して営業する
- 入社1週間で自殺を考えた
- 新入社員の退職最短記録は半日。入社して午後にはいないという人もいた
- 新卒で10人弱雇って、翌年に一人残っていればいい方
という感じでしょうか。ちなみに、もう、この会社は倒産してますwww
サービス残業ならともかく、土曜も出勤するのが会社の規則で決まっているって、大丈夫なんですかねw
ただ、結論から言うと、僕は、このブラック企業に入って良かったと思ってます。人生が修行だとは思わないけど、1年間ぐらいは、修行の期間があってもいいと思います。
最初の1週間は本当につらくて、線路際を歩くのが怖かったぐらいです。自分が線路に飛び込むんじゃないかと思って(苦笑)
だから、周りから見ると変な人みたいだけど、駅の壁を触りながら歩いていました。壁に寄り添うようにして、自分の背中や手が壁とか柱にくっついていないと、精神的に安定しなかったからです。それぐらい、追いつめられていました。
でも、結構、人間って強いんですよ。1週間ぐらい経つと、だんだん慣れてきて、「まあ、こんなもんか。」って思えてくる。
僕が幸せだったのは、
- 自分がいかにひどい会社に入ったかということを、客観的に知らなかったこと
だと思います。「社会ってみんなこんなもんかな。大変なんだな。」って本気で思っていました。もっと、ネットで検索すればよかったのだけれど、当時は、インターネットって、無料のエロサイトの検索ぐらいにしか使っていなかったのです(今でもあまり変わってないけどw)。
僕が運が良かったのは、そうしてブラック企業に入ってしまっても、とても素晴らしい上司との出会いがあったことです。
その上司は、ガキ大将がそのまま大人になったような人で、度胸が服を着て歩いている、みたいな人でした。
学生時代にヤクザの下でダフ屋をやったり、高校生の頃から女の子に貢がせているような人で、「ヤンキーからかいにいこうぜ」と言って、パンチパーマの暴走族の青年たちをからかいに行って、僕がビクビクしていると、「あいつら鉄パイプ持ってないから大丈夫だよ」と、ニコニコしながら言うような人でした。(結果、バイクの青年たちに囲まれましたw)
教育の技術は何ですか
社会人になって、周りの話を聞いてみると、「抗争で同級生の友人が殺された」とか、そういう話しも聞くようになったので、「自分の周りは本当に平和な人たちばっかりだったんだなあ」って思うし、そうして平和な環境で育ってきた僕にとって、過激な上司に育てられたことは、本当に運が良かったと思います。
ブラック企業の何が良いか?
それは、ブラック企業で勝ち残っている人は、精神的に強い人が多い、ということです。
僕は、イヤなことがあるとすぐに逃げるし、めんどくさいことが嫌いだし、精神的に弱い人なので、強い人ばかりの会社に勤務できたことは、とてもよかったと思います。
営業成績が悪いと、バイクで引きずりまわされるとか、インディアンデスロックをかけられるとか、そうして物理的に危害を加えられるようなブラック企業だと、生命の危険があるのでやめた方がいいとは思うんですが、生命の危険がない程度のブラック企業だったら、1年間ぐらいは、修行のつもりで入ってみるのも、それほど悪くないんじゃないかと思います。
僕のいた会社は、運が良いのか悪いのか、入社1年で所属部署が消滅してしまったので、転職せざるを得なかったわけですが、最悪、耐えられなくて1年ぐらいで辞めてしまっても、ひどい体験を笑いながら話して、「学生時代になまっていた根性を鍛えてもらって、素晴らしい会社でしたw」とか、転職の面接で言えば、「ああ、こいつは大丈夫そうかな。」とか面接官に思ってもらえるんじゃないですかね。どうでしょう??保証はできないけど。
好むと好まざるとに関わらず、日本って、どちらかというと、「根性がある」っていうのを評価する人とか会社って多いような気がするんですよ。
僕はどちらかというと、根性が無い方なんだけど、これまでの人生のことを話すと、「人生経験豊富ですね(笑)」とか、「大変でしたね(笑)」とか、ほめられているんだか、バカにされているのかわかりませんが、悪い印象は持たれないです。
たぶん、ブラック企業のいいところって、「新卒だろうが中途だろうが学歴があろうが無かろうがいつでも入社できる」ってことだと思うんです。
何故なら、求める条件が「やる気と体力」だけだからですwww
僕は、社会に出る前に、自分からドロップアウトしてしまったから、「優秀で、本当はドロップアウトしたくなかったのに、就職難でドロップアウトせざるを得なかった人」から見ると、感覚を共有できないのかもしれないけど、それでも、あえて言いたいのだけれど、
「人格を否定されたり、バカにしているとしか思えないような面接で、イヤイヤ就職活動を続ける」
ということに、それほど価値があるようには思えません。それよりは、例えば、税理士試験とか、ITの技術の資格とか、そういう具体的なもので客観的に評価を受ける市場で勝負するか、あるいは、だれでも参入OKのブラック企業で根性を試してみる、とかの方が、生産的なような気がします。
ソースがネットなんで、本当かどうかわからないけど、たしかITmediaで、セクハラまがいの面接の記事とか読んだときに、本当に下らないなあって思いました。
本人が選ぶ人生なんで、僕が言うことではないかもしれないけど、
「受け入れてくれない社会に無理に自分を同化させるより、受け入れてくれる社会でがんばる」
方が、いいんじゃないか、って思うのです。学歴が悪いのか、運が悪いのか、しゃべりが悪いのか、雰囲気が悪いのかわからないけど、100社受けて、1社も受からないとか、それって、普通なんですか??
僕だったら、そういう集団に自分を同化させる努力をするよりは、門戸が広く開かれている会社に入って、社会経験を積んで、お金ももらって、そのお金で資格の勉強とかをした方が、生産的なような気がします。
だから、「ブラック企業でとりあえず生活していく金を稼いで、余った金で勉強する」っていう選択肢もありますよ、ってことを伝えたいと思いました、という趣旨のエントリーでした。
22〜3歳だったら、30歳になるまでに、未経験の語学を習得するとか可能だろうし、就活が死ぬほどつらいなら、死ぬほどつらいブラック企業に入るのもそれほど変わらないし、お金がもらえる分、まだ、働いた方が得かな、とか思います。
ただ、経験上、ブラック企業が本当につらいっていう人もいると思うし、精神が病むほどなら、やはりそういう会社は辞めた方がいいと思います。僕は、死にたいっていう一歩手前でなんとかなったけど、そのまま死んでたかもしれないし。冗談抜きで、最初は本当につらかったんで。
でも、それでもやはり、ブラック企業で、いい上司と出会ったことって、本当に大きいんです。僕の人生の価値観を大きく変えてくれたから。なので、怖いもの見たさと、人との出会いを求めて、ブラック企業に入ってみるという選択肢もありますよ、ということを、最後に繰り返しお伝えしたいと思います。
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